赤池情報量規準AIC―モデリング・予測・知識発見― 

書籍情報
ISBN978-4-320-12190-4
判型A5 
ページ数178ページ
発行年月2007年07月
本体価格2,600円
赤池情報量規準AIC 書影
赤池情報量規準AIC

 膨大なデータから現象を理解・予測するためには、「モデル」を構築し「データ」に当てはめるのが有効である。そして有効な情報抽出を行うには、「適切な複雑さのモデル」を選択して数理的処理を行うことが不可欠である。この「モデル選択の指針」として、1970年代初頭に赤池弘次博士によって、汎用性と情報数理的裏づけを併せ持った「赤池情報量規準(AIC)」が提唱された。今では、最も重要な情報量規準の一つとして多くの統計ソフトに備えられて活用され、広い分野の研究・開発に貢献している。また赤池博士によって拓かれた、情報量に基づく知的情報処理の分野は、統計学・制御理論・信号処理・パターン認識・人工知能・符号理論・機械学習・統計物理ほか、多分野にまたがる学際的なものになっており、現在もなお、さらに発展し続けている。
 本書は、赤池博士の業績と京都賞(2006年度)受賞を記念して、赤池博士ご自身を始めとして世界的に活躍されている関係の深い4人の研究者に、AICならびに関連する知的情報処理の分野について、発展の軌跡、最新の成果、今後の展望などをわかりやすく詳説していただいたものである。

目次

第I編

第1章 物の動きを読む数理―情報量基準AICの導入とその効果 (赤池弘次)
 はじめに
 1.1 生い立ち
 1.2 予測の数理
1.2.1 確率
1.2.2 確率と統計の繋がり
 1.3 実際問題への適用
1.3.1 生糸繰糸工程の統計的管理
1.3.2 パワースペクトルの推定
1.3.3 周波数応答関数の推定
1.3.4 生産プロセスの最適制御
1.3.5 自己回帰モデル
1.3.6 最適制御の実現
 1.4 尤度の解明
1.4.1 尤度とは?
 1.5 情報量基準
1.5.1 情報量
1.5.2 パラメータを含むモデル
1.5.3 AIC
1.5.4 AICの発表
1.5.5 情報量規準導入の効果
 おわりに


第2章 統計的推論とモデリング (赤池弘次)
 はじめに
 2.1 情報量の二つの側面
2.1.1 推論の時間的展開の視点とAIC
 2.2 モデルの利用の実態
2.2.1 無駄な複雑性の排除と有効性の確認
 2.3 脳の働きとしてのモデリング
2.3.1 物の見方とピークシフトの機能
 2.4 イメージとモデルの関係
2.4.1 イメージと意図
2.4.2 姿から動きを読む
2.4.3 複雑さの低減と有効性の確保
2.4.4 情報データ群の利用
 おわりに
 参考文献


第3章 赤池弘次 著書・論文目録


第I編 索引

第II編

第1章 赤池情報量規準AIC―その思想と新展開 (甘利俊一)
 はじめに
 1.1 赤池情報量規準AICが統計科学にもたらしたもの
1.1.1 数理統計学の古典的枠組み
1.1.2 モデル選択
1.1.3 赤池情報量規準AIC
 1.2 AICの導出と一般的な考察
1.2.1 AICの導出
1.2.2 データ数とモデルの複雑さ
 1.3 AICをめぐって
1.3.1 真の分布はどこにあるのか
1.3.2 AICのばらつきと階層モデル
1.3.3 一致性
1.3.4 他の損失関数
 1.4 AICをめぐる論争
1.4.1 ベイズ情報量規準BIC
1.4.2 ベイズ推論
1.4.3 記述長最小規準MDL
 1.5 AICとMDLはどちらが良いのか―不毛な論争をふり返って
 1.6 特異構造をもつ階層統計モデル族
1.6.1 特異分布族の例
1.6.2 特異分布族の幾何構造
1.6.3 他の特異分布族
1.6.4 特異モデル族のAIC
1.6.5 ベイズ推論と特異構造
1.6.6 特異モデル上での学習(逐次推定)
 参考文献


第2章 情報量基準と統計的モデリング (北川源四郎)
 はじめに
 2.1 情報量基準AIC
2.1.1 統計的モデルの評価
2.1.2 情報量規準AICの誕生
2.1.3 情報量規準をめぐる議論
2.1.4 いろいろな情報量規準
2.1.5 一般化情報量規準GIC
2.1.6 ブートストラップ情報量規準EIC
 2.2 ベイズモデリング
2.2.1 情報量規準が先導したモデリングの世界
2.2.2 ベイズモデリングの世界へ
2.2.3 状態空間モデルの利用
 2.3 地下水位データと地震の関係の解析
2.3.1 状態空間モデルによる欠測値と異常値の処理
2.3.2 気圧,潮汐,降雨の効果のモデリング
 2.4 海底地震計データによる地下構造探査
2.4.1 OBSデータと時空間モデリング
2.4.2 信号の伝播経路のモデル
2.4.3 隣接系列との相関構造
2.4.4 時空間フィルタリング
 参考文献


第3章 情報学におけるMore is different (樺島祥介)
 はじめに
 3.1 エントロピーから見たモノの科学とコトの科学
3.1.1 モノの科学とエントロピー:カノニカル分布
3.1.2 コトの科学とエントロピー:情報源の符号化
3.1.3 何が似ていて何が違っているのか
 3.2 モノにおけるMore is different
3.2.1 強磁性体の相転移
3.2.2 伏見-テンパリー模型
3.2.3 有限系での解析:対称性による制約
3.2.4 無限系での解析:自発的対称性の破れ
3.2.5 解析を振り返って
 3.3 コトにおけるMore is different
3.3.1 CDMAマルチユーザ復調問題
3.3.2 有限系での解析
3.3.3 無限系での解析
 おわりに
 参考文献


第4章 モデル選択とブートストラップ (下平英寿)
 はじめに
 4.1 情報量基準とその発展
4.1.1 赤池情報量規準によるモデル選択
4.1.2 AICの導出
4.1.3 予測分布の良さ――最尤推定,ベイズ,ブートストラップ
 4.2 モデル選択のランダムネス
4.2.1 AICのバラツキ
4.2.2 系統樹推定
4.2.3 二つのモデルの比較
4.2.4 仮説の相違
4.2.5 ブートストラップ法によるモデル選択の検定
4.2.6 ブートストラップ確率のバイアス
4.2.7 マルチスケール・ブートストラップ法
 参考文献


第II編 索引