身体知システム論

―ヒューマンロボティクスによる運動の学習と制御―

身体知システム論
著者 伊藤 宏司 著
分野 機械工学  > 計測・制御  > ロボット
発売日 2005/06/25
ISBN 9784320121355
体裁 A5・414頁
定価 6,050円 (本体5,500円 + 税10%)
  • この本の
    内容
  • 目次
我々は身体(センサ、アクチュエータ、力学構造)を介して行動を出力し、環境を知覚する。この行動出力-環境知覚の循環の中で、固有の環境世界を内部ダイナミクス(内部表現)として取り込む。そして、刻々と知覚される環境世界と記憶されている内部ダイナミクスの動的な相互作用から、身体自由度に対する拘束条件が生成され、行動が出力される。我々と異なる身体をもつ昆虫、魚、鳥、哺乳類、さらにはロボットも、それぞれの身体に対応した内部ダイナミクスをもつ。たとえば、高度な超音波感覚機構をもつコウモリと鋭敏な嗅覚をもつイヌは、当然、別の内部モデルを獲得する。このような異なる身体性にもかかわらず、運動・行動の発現には、暗黙的な身体知という意味で共通の獲得原理が存在する。たしかに、高度で複雑な運動・行動を生成するためには、記号演算的な機能が不可欠である。しかし、その背後には、幅広い身体知機能が埋め込まれていなければならない。両者が階層的・機能的に融合して初めて、知的な運動・行動が実現される。
 本書は、このような身体知に対してシステム論の観点から解析を試みたものである。工学的実現の側面に留まらず、脳科学・身体性認知科学の両面から系統的に解説している点が特色である。システム科学、ロボティクス、脳科学、認知科学関係の大学学部高学年、大学院生ならびに関連する分野の研究者、技術者を対象としている。
第1章 序論
1.1 脳はコンピュータ?
1.2 知能は機能である
1.3 環境との相互作用
1.4 計算論

第2章 システム科学の変遷―最適から創発へ―
2.1 システムとは
2.2 システム科学とサイバネティクス
2.3 新たなシステム概念
2.4 最適から創発へ

第3章 脳のアーキテクチャ―機能モジュールの分散・協調―
3.1 脳の機能構成
3.2 運動・行動の生成と制御

第4章 動的システム表現―線形から非線形へ―
4.1 動的システムと状態方程式
4.2 線形システム
4.3 状態空間と解軌道
4.4 非線形システム
4.5 安定性とリアプノフ関数
4.6 インパルス応答と伝達関数
4.7 フィードバック系

第5章 空間と運動―身体イメージと統合―
5.1 身体運動と座標系
5.2 空間と運動の知覚
5.3 感覚・運動統合
5.4 空間と運動のマッピング
5.5 力・モーメント・インピーダンス

第6章 感覚-運動マッピング―トポロジー保存と自己組織化―
6.1 生体の感覚-運動マップ
6.2 正規化定理と動径基底関数(RBF)
6.3 自己組織化マップ(SOM)
6.4 感覚-運動マップの自己組織化

第7章 運動制御機構―フィードバックと適応―
7.1 脊髄反射系
7.2 介在ニューロンと反射プログラム
7.3 伸張・腱反射系の制御特性
7.4 筋の可変粘弾性
7.5 小脳の適応制御機構

第8章 リズム生成と歩行―CPGとオシレータ―
8.1 四足動物の歩行パターン
8.2 歩行運動の神経制御機構
8.3 リズム生成モデル

第9章 多関節運動とインピーダンス―身体性と自由度―
9.1 運動自由度とマッピング
9.2 作業・関節・筋空間の運動記述
9.3 運動インピーダンスマッピング
9.4 関節インピーダンスと手先操作性
9.5 関節インピーダンス調節
9.6 作業空間コンプライアンス制御
9.7 手先インピーダンス同定
9.8 インピーダンス適応

第10章 運動のプランニング―軌道生成と身体拘束―
10.1 リーチングと把持
10.2 仮想軌道
10.3 軌道生成
10.4 インピーダンス拘束による運動プランニング
10.5 ポテンシャル拘束による運動生成

第11章 予測と内部モデル―状態推定と内的シミュレーション―
11.1 システム-身体-環境
11.2 内部モデル
11.3 内部モデルを含む制御系
11.4 状態推定と同定
11.5 予測と順モデル
11.6 大脳皮質-小脳-基底核ネットワーク

第12章 運動学習―内部表現とパターン生成―
12.1 ロボットの学習制御系
12.2 フィードバック誤差学習
12.3 運動パターン形成
12.4 内部モデルを利用した運動学習
12.5 複数モデルによる運動学習

第13章 運動・行動の表現―内部ダイナミクスと拘束生成―
13.1 暗黙的身体知
13.2 行動適応
13.3 運動・行動発現
13.4 コミュニケーション行動

付録1 座標系と変換行列
A1.1 回転行列
A1.2 同次変換

付録2 動力学と運動方程式
A2.1 剛体の運動表現
A2.2 リンク間の測度関係
A2.3 ニュートン・オイラー法による運動方程式導出
A2.4 ラグランジュ法による運動方程式導出

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