地球大気の科学

書籍情報
シリーズ名現代地球科学入門シリーズ 全16巻 【3】巻
ISBN978-4-320-04711-2
判型A5 
発行年月2017年05月
地球大気の科学 書影
地球大気の科学

本書は,大学の学部の2~4年生から大学院修士課程の大学院生を念頭に,地球大気の科学の教科書となるように執筆した。予備知識としては,学部の初年度で微分方程式や線形代数,流体力学,熱力学に関する基礎知識を,ある程度修得しているものとして書かれている。本書は,地球大気の歴史に始まり,地球大気の鉛直構造,南北構造,太陽放射と熱のバランス,雲と降水について概観し,大気力学・熱力学について詳しく解説した。力学・熱力学の章では,連続流体の仮定に始まり,大気力学の基礎方程式系,プリミティブ方程式系,準地衡風方程式を扱った。特に,バランス方程式の導入により,質量保存則,運動量保存則,エネルギー保存則を統一的にまとめた。これらの保存則の背景にある連続流体のハミルトニアンシステムについて詳しく解説した。さらに,大気中の波動,渦位保存則,数値予報の原理,カオスシステムに触れた。地球大気の科学について本格的に学びたい読者にとって,本書が役立つことを願っている。

目次

第1章 地球大気の歴史
1.1 太陽系と地球の誕生
1.2 地球大気の誕生
1.3 生命の誕生と大気の変遷
1.4 氷期と間氷期

第2章 地球大気の鉛直構造
2.1 大気の層区分
2.2 大気の組成
2.3 気圧の鉛直変化
2.4 気温の鉛直変化
2.5 オゾン層
2.6 超高層大気のオーロラ

第3章 太陽放射と熱のバランス
3.1 太陽放射と地球放射
3.2 放射エネルギースペクトル
3.3 大気のエネルギー収支
3.4 温室効果
3.5 放射収支の季節変化と南北変化

第4章 地球大気の南北構造
4.1 気圧と等圧面高度
4.2 気温の南北分布
4.3 東西風の南北分布
4.4 鉛直子午面循環
4.5 水蒸気量の南北分布

第5章 雲と降水
5.1 固体,液体,気体の相変化
5.2 湿度
5.3 雲の形成
5.4 水滴の成長
5.5 雲の分類
5.6 雲の放射特性

第6章 大気力学・熱力学の基礎
6.1 連続流体
6.2 状態方程式
  6.2.1 温度と気圧
  6.2.2 理想気体の状態方程式
6.3 実質変化と局所変化
  6.3.1 場の量と偏微分
  6.3.2 勾配・発散・渦度
  6.3.3 ラグランジュ表示とオイラー表示
6.4 静力学平衡
  6.4.1 静力学平衡の式
  6.4.2 気圧と密度の鉛直変化
  6.4.3 重力振動
6.5 質量保存則
  6.5.1 連続の式
  6.5.2 バランス方程式
  6.5.3 雲微物理過程への応用
6.6 運動量保存則
  6.6.1 引力と遠心力と重力
  6.6.2 気圧傾度力
  6.6.3 コリオリの力
  6.6.4 慣性振動
  6.6.5 回転座標系
  6.6.6 応力と粘性摩擦
  6.6.7 連続流体の運動方程式
  6.6.8 レイノルズ応力
  6.6.9 角運動量保存則
6.7 熱力学の第一法則
  6.7.1 内部エネルギーと顕熱
  6.7.2 乾燥断熱減率
  6.7.3 温位と大気安定度
  6.7.4 湿潤断熱減率と相当温位

第7章 プリミティブ方程式系
7.1 大気力学の基礎方程式系
7.2 気圧座標系
7.3 層厚と平均気温
7.4 地衡風と温度風
7.5 順圧大気と傾圧大気
7.6 傾度風
7.7 摩擦力と地上風

第8章 循環と渦度
8.1 循環
8.2 循環定理とソレノイド
8.3 傾圧性と渦の発達
8.4 渦度方程式と発散方程式
8.5 流線関数と速度ポテンシャル
8.6 準地衡風方程式

第9章 大気中の波動
9.1 波動方程式
9.2 線形化
9.3 音波
9.4 重力波
9.5 ロスビー波
9.6 浅水方程式系の波動解
9.7 浅水方程式系のノーマルモード
9.8 ケルビン波と混合ロスビー重力波

第10章 大気中のエネルギー
10.1 エネルギー保存則
10.2 大気大循環のエネルギー
10.3 力学的エネルギー保存則
10.4 有効位置エネルギー

第11章 連続流体のハミルトニアンシステム
11.1 渦位保存則
11.2 ハミルトニアンシステム
11.3 2次元オイラー流
11.4 浅水方程式系
11.5 基礎方程式系

第12章 数値予報の原理
12.1 天気予報の黎明期
12.2 力学系
12.3 緯度経度グリッドモデル
12.4 2次元スペクトルモデル
12.5 3次元スペクトルモデル
12.6 大気大循環モデルの変遷
12.7 カオスシステム
12.8 局所的リアプノフ安定性
12.9 カオス実験
12.10 アンサンブル予報

第13章 大気大循環
13.1 ハドレー循環
13.2 温帯低気圧
13.3 フェレル循環
13.4 極循環
13.5 ウォーカー循環とモンスーン循環
13.6 ブリューワー・ドブソン循環
13.7 ロスビー循環
13.8 大気大循環のエネルギーサイクル
13.9 傾圧不安定波
13.10 傾圧不安定波のライフサイクル
13.11 傾圧不安定波のエネルギー流
13.12 ブロッキング高気圧
13.13 熱帯低気圧
13.14 北極低気圧

文献
索引