超分子化学

書籍情報
シリーズ名化学の要点シリーズ 【23】巻
ISBN978-4-320-04463-0
判型B6 
ページ数140ページ
発売予定2017年10月25日
本体価格1,900円
超分子化学 書影
超分子化学

新刊

 超分子とは,複数の分子が協同して働き,単独の分子では実現できないような機能や反応性を獲得した状態である。生物のような複雑な分子システムは,フラスコの中の単独の分子とは質的に異なる振る舞いをするが,その違いをもたらすのが分子同士の協同効果であり,それを明らかにするのが超分子化学である。超分子化学の対象は必ずしも生体分子ではないが,「生物」という分子システムは常に超分子化学のお手本となっている。
 以上のような超分子化学の位置付けを背景に本書は書かれている。まず,生体の分子システムを例にとって,超分子化学の位置付けを行なった後,分子の協同効果の源泉である,分子間相互作用について解説した。さらに,超分子化学の誕生のきっかけとなったクラウンエーテルによる分子認識,疎水相互作用および水素結合を利用した分子認識系について解説した。さらに,様々な分子協調システムについて解説し,超分子化学を理解する上で重要な概念について述べた。いずれも豊富な実例が挙げられており,複雑な概念も容易に理解できるように配慮されている。
 本書の特徴の1つは,超分子化学のトピックスを扱った多数のコラムにある。筆者は超分子の概念を提出したLehnの孫弟子にあたり,1988年のノーベル賞受賞を目撃している。本書は,Lehnの弟子の1人Sauvageのノーベル賞受賞の年に執筆されており,臨場感にあふれたコラムは読者の超分子への理解を助けるであろう。

目次

第1章 超分子とはなにか
1.1 有機化学と超分子化学
1.2 物質の階層と超分子

第2章 分子間相互作用
2.1 分子の自発的な集合による分子集合体の形成
2.2 分子間相互作用
2.3 共有結合と配位結合
2.4 水素結合
2.5 電荷移動(CT)相互作用
2.6 静電相互作用
2.7 双極子の相互作用
2.8 疎水相互作用

第3章 クラウンエーテル
3.1 クラウンエーテルの発見
3.2 クラウンエーテルの構造と名称
3.3 カチオン認識と選択性
3.4 アンモニウム塩の認識
3.5 能動輸送
3.6 鋳型効果
3.7 事前組織化
3.8 エンタルピー―エントロピー補償則

第4章 疎水相互作用による分子認識場
4.1 疎水ポケット
4.2 シクロデキストリン
4.3 シクロファン
4.4 カリックスアレーンとレゾルシノアレーン
4.5 ミセル
4.6 LB膜
4.7 ベシクル
4.8 触媒作用をもつ分子認識場
4.9 反応場の形と触媒作用

第5章 水素結合による分子認識
5.1 DNA
5.2 相補的水素結合
5.3 多点水素結合
5.4 水素結合による超構造形成
5.5 自己複製

第6章 分子協調作用
6.1 分子の協調
6.2 アロステリック効果
6.3 ヘモグロビンのアロステリック効果
6.4 人工分子によるアロステリック効果
6.5 集積錯体
6.6 MOF
6.7 動的共有結合

第7章 インターロックト分子
7.1 インターロックト構造
7.2 カテナン
7.3 ロタキサン
7.4 ノット

参考文献

索引

コラム目次
1.超分子と機能
2.フッ化水素の特別な性質
3.Pedersen物語
4.パープルベンゼン
5.CramとLehn
6.疎水相互作用の温度依存性
7.カリックス
8.二重らせん
9.部品が勝手に集まって時計を作ることができるか?
10.エントロピーに支配される錯体
11.SauvageとStoddart