曲線の事典―性質・歴史・作図法― 

書籍情報
ISBN978-4-320-01907-2
判型B5 
ページ数328ページ
発行年月2009年12月
本体価格3,800円
曲線の事典 書影
曲線の事典

 本書は,定木とコンパスを含む機械で作図しえる曲線の歴史的表現を解説した事典である。小学校から高等学校,大学に至るまでの学校数学において知られる曲線の定義や性質を,その曲線を描く道具,変換器,幾何学的計算具の実物写真,作図結果とともに解説している。曲線の来歴を,今は失われた歴史的表現・役割を前提に解説することで,その背後に潜む直観と論理を再現している。
 今日では,ソフトウエアを利用してディスプレイ上に描画する曲線は,少し前まではコンピュータ以外の道具を駆使して描かれてきた。作図の困難さもあり,それぞれの曲線の性質を明かすことは数学発展の象徴であり,曲線の表現法が改まる都度,その意味内容も進化した。そうした曲線像を認め,その曲線を描いた人々が生きた時代に思いを馳せることで,人間味溢れる数学像を提供する。
 まず,それぞれの曲線に関わる各論を話題にする上で必要な曲線に関する歴史・文化的眺望を記した。その次に,本書の中心的な話題である,様々な曲線とその作図器,その初等幾何学的解説を収めた。そのあとに,変換を表象する機構,透視図法と投影,問題の作図解を表現する機械を収めた。最後には用語集を用意し,本文中で解説しきれなかった用語の解説を収めた。用語集や索引から逆に読めば,辞典として役立てられるようにも工夫されている。


日本書籍出版協会・日本印刷産業連合会主催
第44回造本装幀コンクール
日本書籍出版協会理事長賞(自然科学部門)受賞


目次

第1章 道具に埋め込まれた直観
1.1 曲線のルーツとしてのギリシャ
1.2 ルネッサンス-近代における曲線を描く道具
1.3 空間で曲線を描く道具と透視・投影・射影

第2章 円錐曲線とその幾何学
2.1 メナイクモスの円錐曲線:直円錐の切断
2.2 アポロニウスの円錐曲線:円錐の切断
2.3 透視円錐の断面
2.4 ダンデリンの球面
2.5 張り糸を利用した円錐曲線の作図
2.6 カバリエリの円錐曲線作図器
2.7 補助円を利用した円錐曲線作図器
2.8 交叉平行四辺形を利用した円錐曲線作図器
2.9 ドロネーの円錐曲線作図器
2.10 ロピタルの円錐曲線作図器
2.11 ニュートンの円錐曲線作図器
2.12 マクローリンの円錐曲線作図器
2.13 包絡線による円錐曲線の作図
2.14 円錐曲線に接するV型定木の頂点軌跡
2.15 ダビンチのコンパス
2.16 パシオッティ-オッディの円錐曲線作図器
2.17 接線・法線の性質を表す作図器
2.18 様々な楕円作図器
2.19 様々な双曲線作図器
2.20 転がり合う2つの円錐曲線:周転曲線

第3章 高次曲線とその幾何学
3.1 3次曲線
3.2 4次曲線
3.3 高次曲線

第4章 特殊な曲線とその幾何学
4.1 様々な螺線
4.2 周転曲線
4.3 縮閉線と伸開線

第5章 変換を表す機構
5.1 合同変換(回転変換,併進,鏡映,点対称変換)
5.2 相似変換
5.3 アフィン変換による機構
5.4 反転変換
5.5 円運動の直線への変換

第6章 透視図法と投影
6.1 デューラーの透視描画器
6.2 シャイナーの透視描画器
6.3 チゴーリ-ニスロンの透視描画器
6.4 ステヴィンによる中心投影
6.5 空間における平面から平面への投影
6.6 ラ・イールの透視装置
6.7 ランベルトの透視図作図器
6.8 ニュートンによる3次曲線分類
6.9 アナモルフォーズ

第7章 作図解表示器
7.1 立方体の倍積問題解答器
7.2 角の三等分問題
7.3 円の方形化問題(円積問題)
7.4 折り紙で解く三大作図題
7.5 ルーローの倍周回転器
7.6 アルハーゼンの問題
7.7 円に内接する等周三角形の面積極大値
7.8 ユークリッドの杖
7.9 タレスの杖
7.10 クロススタッフ
7.11 比例コンパス
7.12 セクター
7.13 計算尺
7.14 エンクのベクトル和表示器
7.15 3次方程式解答機
7.16 高次方程式解答機:整関数のグラフ作図器

用語集

参考文献